改正道交法施行から1年

 飲酒運転撲滅に向けた取り組みを進める「チームゼロフクオカ」の対象は自動車だけに限りません。運転免許不要で多くの人が気軽に利用できる自転車は、自動車と同様に乗り方次第で凶器になり得る乗り物です。その危険性を踏まえ、道交法が改正されてから1年。福岡県警察本部交通部交通指導課の井上秀晴警部に、自転車の飲酒運転について現状を聞きました。

自転車は車の仲間 酒気帯び運転も処罰対象

自転車の飲酒運転等に対する罰則強化

 2024年11月1日に道交法が改正され、自転車の飲酒運転に対する罰則が強化されました。以前はアルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自転車を運転する「酒酔い運転」だけが処罰の対象とされていましたが、新たに「酒気帯び運転」も対象に加えられました。 自転車を運転する人から呼気1㍑当たり0.15㍉㌘以上のアルコール分が検出され酒気帯び運転とされた場合、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されます。また、「車両(自転車)の提供」「酒類の提供」「車両への同乗」にも罰則が適用され、自転車の提供者には、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が、酒類の提供者・自転車の同乗者には、2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科せられます。

 この改正が行われた背景には、飲酒運転に限らず自転車の危険な運転が後を絶たない現状があります。近年、自転車関連の事故件数は、全交通事故の約2割を占めているほど。そうした状況を改善するのが法改正の狙いで、走行中にスマートフォンを使う「ながら運転」についても同時に罰則が強化されました。

厳罰化以降も減らない自転車の飲酒運転検挙者

 この1年を振り返ってみます。24年11月から25年10月末まで、福岡県における取り締まりによる自転車飲酒運転の検挙件数は1511件。当初は周知が進むにつれ検挙件数は減少していくと考えていましたが、1 年たった今も自転車の飲酒運転検挙者は少なくありません。理由の一つとして、飲酒後、自動車を運転する時と比べて軽い気持ちで自転車を運転するケースが多いのではないかと考えています。アルコールが入ると気が大きくなって交通ルールを守らなかったり、自分本位の運転になったりします。そうすると、他人を巻き込むのはもちろん、自分自身が、事故に遭うおそれも高まります。

 自転車は、多くの人が気軽に利用できる便利な乗り物ですが、自転車も車両であり、自転車による飲酒運転は当然犯罪です。自転車による飲酒運転を人ごとと思わず、自分のことと捉えてほしいと思います。もし周りで「自転車の飲酒運転くらい別に構わないだろう」という人を見かけたときは、積極的に声をかけて止めてください。また、自転車の飲酒運転を見かけたときには、1 1 0 番通報にもご協力ください。

 これから年末そして新年を迎えます。自転車であっても、飲酒運転は絶対しない、させない、許さない、そして見逃さない。皆さんで飲酒運転のない福岡県の実現を目指しましょう。

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