正しい知識で飲酒運転ゼロへ 飲酒運転防止講座【前編】

 飲酒運転をなくすため、チームゼロフクオカはさまざまな取り組みを進めています。その一環として10月7日に西日本新聞社(福岡市中央区)で、周囲に飲酒運転撲滅を呼びかけていく人を育成する講座を開催しました。参加者は認定NPO法人はぁとスペース理事長の山本美也子さんによる講演や実践的な通報訓練を通して、飲酒運転に関する正しい知識を学びました。

悲劇を繰り返さないため いつまでも活動を続ける

 「飲酒運転防止講座」は、講演会と110番通報訓練の2部に分けて実施されました。まず「福岡から全国へ 飲酒運転ゼロを目指して!」というテーマで山本さんが登壇。「1500回話しても、毎回、涙が出るんですよ」。突然、何よりも大切な家族の命が奪われる事故の当事者となった山本さんの話に、集まった30歳代から80歳代までの参加者25人は真剣に聞き入ります。

 「被害者の母親が悲しみをこらえてインタビューに応じる。泣きながら『飲酒運転をやめてください』と声を上げれば、すぐに飲酒運転はなくなるのではと考えていた」と振り返る山本さん。しかし、インタビューにどれだけ答えても、1年たっても2年たっても飲酒運転はなくなりません。「14年たっても、まだゼロにならない。それでも、同じ悲しみが繰り返されないように、すぐ隣にある命を守るために言い続けていこう」と呼びかけました。
 
 14年前から、講演を聴いた子どもたちに「STOP‼飲酒運転」のステッカーを配布してきて、その数は約25万枚に及ぶといいます。大人になった彼ら彼女らから「昔、ステッカーをもらいましたよ」と声をかけられる時、地道に活動を続けてきた意義を感じるそうです。

飲酒運転を見逃さないで 大切なのは110番通報

 飲酒運転の撲滅には、周囲が「見逃さない」ことも重要です。山本さんは110番通報の大切さを強調します。「福岡県飲酒運転撲滅運動の推進に関する条例」で定められた県民の義務でもあります。福岡県の取り組みは他の都道府県からも注目され、全国各地からの視察を受け入れています。

 通報は人に罰則を与えるためのものではありません。県の条例で飲酒運転逮捕者は、アルコール依存症の疑いがあると認められる場合、指定医療機関で依存に関する診察を受けることまでが課されています。「その人が、どうしたら飲酒運転をしないで済む人生を歩めるか」。みんなで考えられる条例になっていると山本さんは受け止めています。

 講演の後、参加者は2014年の夏に福岡市中央区の大濠公園で1万人を目指して、多数の市民を集めたチームゼロフクオカのイベントの動画を視聴しました。みんなで取り組む飲酒運転ゼロへの思いを熱くし、山本さんの「せーの」というかけ声とともに会場の全員が両腕で「0」をつくり第1部を締めくくりました。

参加者全員で大きな「0」をつくり、飲酒運転撲滅への思いを一つに
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